休題 「月を望んで」
2005年4月22日深夜、日課のトレーニングに出かけると
大きな月が目に入った。
満月より僅かに欠ける位の月だったが
その色はとても濃密な黄色…いや、あれは黄金色と言うべきか
それは見事な月だった。
一度目の走りこみを終えて
いつもの公園に駆け込んで、ベンチに腰掛ける。
息を整えながら再び空を見上げると
ほんの少しの間に、月はもう沈み始めていた。
いつもは月なんてあまり気にしない
トレーニング中で余裕が無いと言えば
それまでかも知れないが
本当の所は多分…いや、きっと違う
本当は、月を見るのが恐かったんだ。
あの日、真夜中に家を飛び出して
彼女の家に行ってしまった時も
月を掴む気持ちを再び持てるようになれたら、と
祈るように月を眺めて泣いたあの夜も
月明かりの下で、一人だったから。
過ちは忘れていない。
飛び出したあの日の俺は
あまりにも子供過ぎた。
彼女が心配だった…
そう言えば聞こえはいいが
行動は、決して褒められたことじゃない。
寂しいと言った彼女が
どんな行動するのか、熱に浮かされた頭で考えた時
想像はあまりにも悪い方向に行き過ぎた…
その結果は、言うまでもないが。
そして俺は、月を掴みたかった。
何よりも遠くにあって
それでも必ず自分の頭上から
静かに道を照らしてくれる
あの月を、この手に掴みたかった。
そう気付いたあの夜も
別の公園ではあるが、こうやって月を眺めていた。
あの頃と違うのは
俺か?…それともあの月か?
答えはきっと前者だろう
俺は思い出したから
汗まみれになって、息を切らせて
体がきしんでも、前に進みたいと思う気持ちを
かすかな火種にも似た
胸の中の小さな昂ぶりを。
本当に久し振りだ
いつの間にか、俺の中にこの思いが戻っている。
日々の生活と現実で
どこか遠くかすれはじめていた
夢が、今はしっかり俺の中にある。
将来を思ってワクワクするなんて
なんだか子供っぽいかもしれないけれど
…それが俺の夢だったから
忘れかけていた夢だったから。
あの月と、自分の夢と
両方いっぺんに…なんて
それは少し欲張りすぎだ。
そんな事を考えて
月を見ながらトレーニングを続けていたら
知らない間に猫が近付いていたらしい
俺が気付く前に突然、視界の端を駆けていった。
「驚かせちゃったか…ゴメンな」
小さく呟いて
猫に話し掛けている自分が
何だかおかしくなって少し笑った。
ちょっと前なら、考えられなかった事だ。
前の自分なら、猫には見向きもしなかっただろう
余裕が出てきたというか
色々吹っ切れたというか…
今にして思えば、俺は彼女に随分助けられていたんだな
夢と現実の間で
行き詰まって、どうしようもなくて
そんな時に彼女に出会えた。
そして、今
俺はまだ夢を持って歩いている。
…もう一度、話がしたい。
そして、「ありがとう」と「ごめんね」を伝えたい。
彼女に出会わなかったら
きっと夢を捨てて歩いていただろうから
でも、その願いは叶わないかもしれない。
だから
ここに書いておきたい
彼女が読んでいるかどうかは別にして
もし伝わるなら…あるいは伝わらなくても
思ったことを言葉や文字にするのは
無駄な事じゃないはずだから
ありがとう、それと…本当にごめんね。
今夜月を望んで、この言葉を書きたくなった。
ただそれだけのことなのだけれど…ね。
大きな月が目に入った。
満月より僅かに欠ける位の月だったが
その色はとても濃密な黄色…いや、あれは黄金色と言うべきか
それは見事な月だった。
一度目の走りこみを終えて
いつもの公園に駆け込んで、ベンチに腰掛ける。
息を整えながら再び空を見上げると
ほんの少しの間に、月はもう沈み始めていた。
いつもは月なんてあまり気にしない
トレーニング中で余裕が無いと言えば
それまでかも知れないが
本当の所は多分…いや、きっと違う
本当は、月を見るのが恐かったんだ。
あの日、真夜中に家を飛び出して
彼女の家に行ってしまった時も
月を掴む気持ちを再び持てるようになれたら、と
祈るように月を眺めて泣いたあの夜も
月明かりの下で、一人だったから。
過ちは忘れていない。
飛び出したあの日の俺は
あまりにも子供過ぎた。
彼女が心配だった…
そう言えば聞こえはいいが
行動は、決して褒められたことじゃない。
寂しいと言った彼女が
どんな行動するのか、熱に浮かされた頭で考えた時
想像はあまりにも悪い方向に行き過ぎた…
その結果は、言うまでもないが。
そして俺は、月を掴みたかった。
何よりも遠くにあって
それでも必ず自分の頭上から
静かに道を照らしてくれる
あの月を、この手に掴みたかった。
そう気付いたあの夜も
別の公園ではあるが、こうやって月を眺めていた。
あの頃と違うのは
俺か?…それともあの月か?
答えはきっと前者だろう
俺は思い出したから
汗まみれになって、息を切らせて
体がきしんでも、前に進みたいと思う気持ちを
かすかな火種にも似た
胸の中の小さな昂ぶりを。
本当に久し振りだ
いつの間にか、俺の中にこの思いが戻っている。
日々の生活と現実で
どこか遠くかすれはじめていた
夢が、今はしっかり俺の中にある。
将来を思ってワクワクするなんて
なんだか子供っぽいかもしれないけれど
…それが俺の夢だったから
忘れかけていた夢だったから。
あの月と、自分の夢と
両方いっぺんに…なんて
それは少し欲張りすぎだ。
そんな事を考えて
月を見ながらトレーニングを続けていたら
知らない間に猫が近付いていたらしい
俺が気付く前に突然、視界の端を駆けていった。
「驚かせちゃったか…ゴメンな」
小さく呟いて
猫に話し掛けている自分が
何だかおかしくなって少し笑った。
ちょっと前なら、考えられなかった事だ。
前の自分なら、猫には見向きもしなかっただろう
余裕が出てきたというか
色々吹っ切れたというか…
今にして思えば、俺は彼女に随分助けられていたんだな
夢と現実の間で
行き詰まって、どうしようもなくて
そんな時に彼女に出会えた。
そして、今
俺はまだ夢を持って歩いている。
…もう一度、話がしたい。
そして、「ありがとう」と「ごめんね」を伝えたい。
彼女に出会わなかったら
きっと夢を捨てて歩いていただろうから
でも、その願いは叶わないかもしれない。
だから
ここに書いておきたい
彼女が読んでいるかどうかは別にして
もし伝わるなら…あるいは伝わらなくても
思ったことを言葉や文字にするのは
無駄な事じゃないはずだから
ありがとう、それと…本当にごめんね。
今夜月を望んで、この言葉を書きたくなった。
ただそれだけのことなのだけれど…ね。
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